かぎやで風 / 琉球古典音楽
けふの ほこらしやや なをにぎゃな たてる
きゆ ぬ ふくらしゃ や なう に じゃな たてぃる
○今日の喜びは 何にたとえるか
つぼで をる 花の つゆ きやた ごと
つぃぶでぃうるはなぬ つぃゆちゃたぐとぅ
○ツボんでいる花が、朝露を受けて花開くときのようだ。
(語句)
・きゆkiyu 今日
・ふくらしゃhukurasha ふくらしゃんfukurashaN嬉しい 喜ばしい
・つぃぶぬんthibunuN 蕾む
・つぃゆthiyu 露
開設 たるーの島唄まじめな研究より
御前風節(ぐじんふうぶしguziNhuubushi)の最初に歌われる曲。
琉球古典音楽のもっとも代表的な曲。
歌の成立が1700年代と推測されていることもあり、琉球語事典においても「破格の語法を含むがこの形で伝承されている」とあるように、たとえば、「ぎゃな zyanaじゃな」はいったいなんなのか、分からない。
題名の「かぎやで」という言葉にもいろいろ説がある。
鍛冶屋のことを歌ったという説、輝くという意味だという説。
こうした語句の不明さよりも、それが300年以上も伝えられてきたことと、その音が沖縄の日常の中であたりまえのようにとりいれられてきたことを大事にするようだ。
いろいろな歌の中の囃子言葉がすでに意味を失っていても、その語調やリズムを楽しむように、音楽として受け入れる。しかも歌、三線ともに沖縄音階は豊富。気持ちよくなる構造になっている。